夕方になり、バアちゃんは家の夕食の準備があるので帰っていった。入れ違いで同級生3人が見舞いに来てくれた。この3人の同級生は俺の数少ない友人であり、奴らにしか痔で入院する事は話していなかった。当時、俺には付き合い始めたばかりの可愛い彼女がいたが、もちろん何故入院しているかは極秘事項である。
見舞いに来てくれた友人達は、なかなか気の利く連中でアップルパイを持って来てくれていた。ゆっくり話しでもと思ったが、狭い2人用の病室に患者の俺とAさんがいるうえ、Zさんに友人3名が入れば圧迫感もあるし、Aさんにも気を使う。談話室に行こうにも、俺はまだ長時間において座る事も立つことも出来ない。友人達も気を使ったのか、長居しないで帰っていった。
この日も大便は出なかったが、俺にとって2~3日は大便が出ないのは特別な事ではない。それよりも、毎日2回行われる点滴に嫌気がでてきた。朝の回診時にお尻の消毒とガーゼ交換、点滴をされるのだが、既に6ヶ所も腕に穴があいている。そして患部にバイ菌が入らないように入浴を禁止されていたので、まる3日間風呂に入っていない。その状態は非常に気持ち悪く、ポジティブな俺も少しネガティブになりつつあった。