ナルシス2世のブログ

エッセイ仕立てに構成。
第一章では高校生時代の入院記を
第二章では高校を卒業してからの職歴と、その中で出会った素晴らしい先輩方とのご縁や学び、エッセイを書く事になった経緯を記録した内容。

其の5 念願のショットバー エピソード④【読書】

話下手な俺は、伝達事項や接客においても失敗を繰り返し、時にはお叱りを受ける。追い打ち要素として、南河内の富田林という田舎出身の俺は、河内弁で言葉使いがきたない。同じ大阪弁にも細かい違いがある事を、その時に初めて知ったのである。市内の一等地にあるこのバーには、様々なお客さんが来店する。品のある大阪弁または標準語は使用可能だが、河内弁禁止令が出た。

そんなある日、孔明店長は俺に一冊の本を貸してくれる。

 

『お前は言葉を知らなさ過ぎる』

『本を読んで色々な文章や言葉に触れてみ』

 

借りた本のタイトルは【毎日が冒険】だった。この本との出会いは、今後の俺の人生にも大きな影響を与える事になる。俺が普段から本を読まない人間である事を知っていた孔明店長は、まずこの本を選んでくれた。文字は大きめ、文章は横書き、所々にイラストが入っている。

 

【毎日が冒険】は本場テキサスでのカウボーイ修業に始まり、無一文&未経験&コネなしから、自分の店を始めたり、自分の本を出版したり、自分の会社まで創ってしまった25歳の自由人が語る爆笑サクセス・ストーリー。

amazon.co.jpより抜粋)

 

著者の自伝で、高校生の頃からの経験談を面白可笑しく、テンポのよい流れで構成されているのだが、バーを自分達で始めた話もあり、当時の俺には、非常に興味を持ちやすい内容だった。実際、本を読まない俺でも、一日で読み切れた。孔明店長には俺に本を読ませ、接客・会話力の向上という目的の他に、別の狙があったのだ。行動力である。その本には目標に向かって、ガムシャラに突き進む、著者の行動力・考え方がガンガン書かれてある。

自分の歩んできた道や考えが、どれだけチッポケだったのかと良い意味で刺激を受けた。

個人的にこの本は、今でもオススメできる一冊だ。

結果的には【毎日が冒険】をきっかけに少しずつ、読書が楽しくなっていった。読書と並行して、テレビで天気やNEWSをチェックしたり、バラエティ番組で司会者のトークを意識して観はじめるようになる。視点が変わり、世界が広がっていく感覚だった。

 このように、孔明店長は俺の弱点を1つ1つ潰していってくれたのだ。