ナルシス2世のブログ

エッセイ仕立てに構成。
第一章では高校生時代の入院記を
第二章では高校を卒業してからの職歴と、その中で出会った素晴らしい先輩方とのご縁や学び、エッセイを書く事になった経緯を記録した内容。

女神降臨

1/15日(木)手術後第9日目

朝の回診時、担当の医者から土曜日に退院と告げられた。俺は実に嬉しかった。痛みも皆無、体力も気力も回復している。俺は看護婦さんに頼んで外出許可をもらった。天気も良かったので散歩する事にしたのだ。久々に外を歩き、普段は目をとめない景色を楽しんだ。静かな昼下がりの田園風景、昔ながらっぽい民家、たまに病院前の細い道を走る農家の車、道脇に力強く咲く雑草や花を眺める優雅な時間。小さな感動を覚えつつ、実に新鮮で清々しい気分だった。

ふと前方を見ると、茶髪の美しい女性が2人歩いてくるではないか。段々と距離が近づいてきた時、私服の看護婦さん達である事に気付いた。その一人は、あの女神である。挨拶をしようと思ったが、緊張して声が出なかった。実に美しく、俺なんかが声をかけてはいけないと思うくらい眩しく輝いて見えた。すれ違い際にニコッと笑顔を頂いた時、俺の鼓動はいつかの様にマッハになる。女神が俺に微笑んだのだ。俺は女神の後姿を見送りながら、一人で興奮したひと時を過ごす。

軽めに散歩を済ませた後、病室に戻り良い気分で眠りについた。