ナルシス2世のブログ

エッセイ仕立てに構成。
第一章では高校生時代の入院記を
第二章では高校を卒業してからの職歴と、その中で出会った素晴らしい先輩方とのご縁や学び、エッセイを書く事になった経緯を記録した内容。

最初の痛み

117日(水)手術後第1日目)

昼食前にバアちゃんが見舞いに来てくれた。手術中での出来事を話している時、ある事に気付く。お尻のほうで痛みを感じ始めていたのだ。持続する痛みではなかったが、ベッドから立ち上がる時、寝返りをうつ時にも痛みがはしる。俺はこの痛みを軽視していた。

だがバアちゃんはこれから麻酔も完全にきれて、痛くなってくると言う。俺は強がって大丈夫だと言い張った。バアちゃんはとても心配性で、俺が気にしない細かい事にまで気を使う人である。いつものように心配しすぎて、大袈裟に言っているだけだと気にもしていなかった。

1人になってからバアちゃんの予言通り、昼間とは比べものにならないレベルの痛みになってきた。そんな状態で大変なのが、小便をする事であった。本来であれば尿意を感じてから尿をたすのは、特別な動きではない。【ベッドから出る→トイレまで行く→尿をたす→病室に戻る→ベッドに入る】これだけ。今の俺にとっては、ベッドから出る時から痛みが伴う。

仰向け状態から1度ベッドに座った状態に体を起こすのだが、その動作が辛い。こんな時でも肛門周辺の筋肉を使っているのだ。ここでまず激痛。トイレまで歩くのも一苦労・・・11歩と歩くたびにも痛みが伴う。やっとトイレへたどり着いても、小便をする間のわずかな時間ですらズキズキと疼く痛みがある。

男性なら何となく分かってもらえると思うが、尿を出し終わった後の仕上げとして尿管に残った最後の尿を搾り出す動作をする時、実は肛門の筋肉を無意識に使っている。溜まった尿を出し終えた爽快感の代償として、歩くたびに訪れた痛みとは比べものにならない痛みが襲ってくるのだ。【刺すような痛み】というヤツが2撃、俺の肛門を襲う。初めての時は、予想もしない突然の痛みに思わず声をあげ、その場で飛び跳ねて驚いた。

思い出しただけでも嫌になる。とにかく何かしようとすると、必ずそういった感じで痛みがついてくるのだ。最初の痔の恐怖を、そして痛みを味わう事となった。俺はこの初めて経験する痛みについて、長くは続かないであろうと自分に言い聞かせていた。

この日、小便はしたが大便は出なかった。前日に極太浣腸を3回もされ、出るものは出尽くした感じなので不思議な事ではない。ところが、これはまだ辛い痛みと排便物語の序章に過ぎなかったのだった。