衝撃的事実
11/17日(土)手術後第11日目。
色々な事があったが、いよいよ退院。痛みを紛らわせる手段としてとった俺の行動は実を結び、看護婦さん達と仲良く会話でき、女神には日記まで読んでもらっている。
退院してしまえば、忘れ去られるであろうと思うと少し寂しくなった。
色々と思い出していると、女神が病室に入ってきた。日記を返しに来てくれたのだ。
『楽しませてもらったよ。』
とトロけるような可愛い声で一言。女神は天使の様な笑顔で病室から姿を消した。一瞬の出来事だった。
俺の妄想では日記の感想から会話が弾み、もっと距離が縮まっていくはずだった・・・一言も喋ってませんよ、俺!
それでも必ず何かメッセージが入っているはずだと、必死で日記のページをめくっていった。
『・・・あっ!!』
ささやかな希望は叶えられていたのだ。最後の1ページに感想が可愛いらしい文字で書かれており、さらにはイラストまで描かれてあった。日記を返してもらった時に会話ができず、谷底へと転がり落ちた俺のテンションは、イッキに大空へと舞い上がった。ワクワクしながら、じっくりゆっくり読み進めていくと・・・
『お尻の毛を剃ったのは私です。おばちゃん看護婦やったら、まだいいケド、若い人だったから、よけいに恥ずかしかったんじゃない?』
思わず読み返した。大空へ舞い上がった俺のテンションは、再び谷底へ急降下。谷底にブチ当たりメリ込んだ・・・くらいの衝撃だった。
そうだったのか。あの処理をしてくれた俺好み女性は、あの女神だったのか・・・
ほろ苦いが良い思い出になったと、メリ込んだ俺は大切に日記をカバンに入れたのであった。
荷物をまとめバアちゃんと一緒に、お世話になった看護婦さん達、掃除のおばちゃん、メシのおばちゃんに感謝しながら退院していった。以上で日記は完結する。
俺は今でも時々あの女神を思い出す。そして、また会いたいと強く思う。
『まだあの病院に勤めているのだろうか?』
『俺の事は覚えていてくれているのだろうか?』
と思い出すたびに胸が苦しくなる。外来では何度か病院へは足を運んだが、見かける事はなかった。
病室のある階へも行きにくく、そのまま高校を卒業して海上自衛隊の道へと進んでいく俺。勤務先は京都の舞鶴になったので、会えるチャンスさえ遠のいていった。俺は悲しかった。あの女神は今、どうしているのだろうか?
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